2017-09-18 夏を手放せない 夢が終わる定禅寺通りの街路樹と像商店街の灯りお気に入りであふれた店々淡い記憶がセミの声といっしょにかけめぐる私の脳をスズムシの声が覚まさせるのだ嗚呼、私は悲しいんだ。すべてが終わってしまうことが心地の良さに満ちた青々とした空の記憶も、非現実に満ちた愛しき絵画の並んだ空間も、大好きだと馬鹿の一つ覚えのように告げた友人も、何とかも終わってしまうことが悲しくて虚しくて仕方がないのだ。終わった記憶に後ろ髪を結い合わせてしまったように前を向くことができないのだ。スズムシの声に耳を塞ぎ駄々を捏ねる童。